労働保険年度更新 令和5年度の変更点
ここでは、継続事業の年度更新について説明します。
令和5年度の年度更新は、雇用保険料が算定期間途中で2段階変更になるため、注意が必要です。それに伴い、端数処理の問題も生じてきます。
労働保険年度更新とは
前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付の手続と、新年度の保険料を納付するための概算保険料の申告・納付の手続きをあわせておこなうことを、「年度更新」といいます。
年度更新の手続は、毎年6月1日から7月10日までの間に行う必要があります。手続が遅れると、政府が労働保険料・一般拠出金の額を決定し、さらに追徴金(納付すべき労働保険料・一般拠出金の10%)を課されることがあるため、注意が必要です。
事業所宛に緑色の封筒(一部の事業所は青色)が届いたら、なるべく早めに手続きしましょう!
令和5年度のおもな変更点
- 一元適用事業の場合、令和4年度確定保険料は、労災保険分と雇用保険分ごとに半期に分けて算出
- 申告書最下部に「㉜期間別確定保険料算定内訳」の項目が出来たので、記入漏れがないように注意しましょう。
- 一般拠出金は通年で集計
- 一元適用事業の労災保険は半期(令和4年4月~9月と10月~令和5年3月)ごと、一般拠出金は通年(R4年4月~R5年3月)で集計するため、端数処理の結果、算定基礎額に千円の差が生じることがありますが、問題ありません。
- 端数処理に注意
- 保険料の端数は原則合算後に切り捨てますが、労災保険・雇用保険算定基礎額が同額で、労災保険・雇用保険の確定保険料額の端数を合算の結果、1円以上となる場合は、労災保険料の端数を切り上げます(雇用保険料の端数は切り捨てます)。
- マルチジョブホルダー制度の対象者も忘れずに集計
- R4年1月よりスタートしたマルチジョブホルダーの対象者がいる場合は、忘れずに集計してください。
マルチジョブホルダー制度とは、令和4年1月1日以降、複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であって、そのうち2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満であるものに限る。)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上である場合、労働者本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者となることができます。
手続き上のポイント Q&A
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対象となる賃金の範囲は?
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労働保険における賃金総額は、事業主がその事業に使用する労働者(年度途中の退職者を含みます)に対して賃金、手当、賞与、その他名称のいかんを問わず労働の対象として支払うすべてのもので、税金その他社会保険料等を控除する前の支払い総額をいいます。
また、保険料算定期間中(令和4年4月1日~令和5年3月31日)に支払いが確定した賃金は、算定期間中に実際に支払われていなくとも算入する必要があります。
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3回に分けて納付(延納)する際の条件は?
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概算保険料総額が40万円以上(労災保険又は雇用保険のどちらか一方のみ成立している場合は20万円以上)の場合、3回に分けて納付(延納)することができます。延納する場合は⑰欄に「3」と記入してください。
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還付額がでる時はどうしたらいいですか?
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申告書の提出だけでは還付されませんので、必ず「労働保険料・一般拠出金還付請求書」を管轄の労働基準監督署又は労働局にご提出ください。還付請求には時効がありますので、ご注意ください。
まとめ
年度更新の申告・納付は7月10日まで(口座振替の場合の納付は9月6日)です。忘れずに手続してくださいね!
こだま社労士オフィスでは、スポットにて手続きの依頼を受付けております。期限もありますので、依頼を検討されている場合は、「お問合せ」からお早めにご相談ください。
参考資料
令和5年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
厚労省_労働保険の年度更新_A4_継続事業用 (mhlw.go.jp)
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