育児休業を取得しやすい雇用環境の整備できていますか?令和5年度版

厚生労働省が発表した令和4年度雇用均等基本調査によると、育児休業取得率は、女性80.2%(令和3年度85.1%)、男性17.13%(令和3年度13.97%)でした。男性の育児休業取得率は、過去最高を更新しました。育児・介護休業法の改正点とあわせて、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備について確認していきます。育児休業対応は、“前広に”がポイントとなります。

育児・介護休業法 改正点

まずは、育児・介護休業法の改正点から確認していきましょう。





令和4年4月1日から3段階で施行されました。規模要件があるのは⑤育児休業取得状況の公表義務化(従業員数1,000人超)だけで、その他の改正点はすべての企業が対象になります。

内容施行日規模要件
雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化令和4年4月1日施行なし
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和なし
出生時育児休業(産後パパ育休)の創設令和4年10月1日施行なし
育児休業の分割取得なし
育児休業取得状況の公表の義務化令和5年4月1日施行従業員数1,000人超の企業

詳細は、こちらをご確認ください。000789715.pdf (mhlw.go.jp)

雇用環境整備

上記の改正点の中から、まず①の雇用環境整備の内容についてご説明いたします。

◆育児休業を取得しやすい雇用環境の整備が必要です!

a~dのいずれかを実施してください(複数の措置を講じることが望ましいです)

a.育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施





b.育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口や相談対応者の設置)
c.自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
d.自社の労働者への育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

a.研修の実施
全従業員対象に研修を実施することが望ましいですが、少なくとも管理職は研修を受けたことがある状態にしてください。

b.相談体制の整備
実質的に対応が可能な窓口を設けてください。窓口の周知等をして、従業員が利用しやすい体制を整備しましょう。

c.自社の育休取得事例の提供
自社の育休取得事例を収集し、事例を掲載した書類の配付やイントラネットへの掲載等を行い、従業員が閲覧できるようにしてください。
提供する事例を特定の性別や職種、雇用形態に偏らせず、可能な限り様々な従業員の事例を収集・提供し、特定の者の育児休業の申し出を控えさせることに繋がらないように配慮してください。

d.制度と育休取得促進に関する方針の周知
「我が社は仕事と育児を両立する社員を積極的にサポートします!」等と、育児休業に関する制度と育児休業の取得の促進に関する事業主の方針を記載したもの(ポスターなど)を事業所内に掲載してください。

個別の周知・意向確認の措置

上記の改正点の中から、①の個別の周知・意向確認の内容についてご説明いたします。

◆個別の周知・意向確認が必要です!

本人or配偶者の妊娠・出産の申し出をした従業員すべてに、e~hの個別周知と意向確認を行ってください

e.育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)に関する制度
f.育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)の申出先
g.育児休業給付に関すること
h.育児休業・出生時育児休業(産後パパ育休)期間において負担すべき社会保険料の取扱い

個別周知・意向確認を行うタイミング





・妊娠・出産の申し出が出産予定日の1か月半以上前に行われた場合▶出産予定日の1か月前まで





・それ以降に申出があった場合でも、出産予定日の1か月前までに申出が行われた場合▶2週間以内





・出産予定日の1か月前から2週間前の間に申出が行われた場合▶1週間以内※できる限り早い時期に措置を行うことが必要。





・出産予定日の2週間前以降に申出があった場合や、子の出生後に申出があった場合▶できる限り速やかに

個別周知・意向確認の方法





①面談(オンライン可) ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか





(③④は従業員が希望した場合に限る)

◆厚生労働省の資料を活用しましょう!
個別周知・意向確認、事例紹介、制度・方針周知ポスター例
育児・介護休業等に関する規則の規定例|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

まとめ

令和4年10月より新設された③出生時育児休業(産後パパ育休)の申出期限は、「原則休業の2週間前まで」ですが、雇用環境の整備などについて、法を上回る取組を労使協定で定めている場合は、申請期限を「休業の1か月前まで」とすることができます。従業員から2週間前に休業取得の申し出を受けたらどうでしょうか、人員補充や業務引継ぎなどの対応に追われることになります。雇用環境整備等を整え、“前広に”育児休業・出生時育児休業の取得を申し出できるような体制を整えましょう。

こだま社労士オフィスでは、育休取得環境整備をサポートしております。管理職向け研修や就業規則改定などトータルで対応いたします。お問合せよりお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

兒玉有美子
兒玉有美子こだま社労士オフィス代表 社会保険労務士
労務相談・社会保険手続・給与計算などトータルで対応いたします。
専門分野は①医科歯科クリニック顧問②派遣業支援③女性活躍推進・育休取得環境整備などの人的資本経営サポートです。
迅速で丁寧な対応を心掛けております。まずはお気軽にお問合せください。
Chatwork ID:officekodama-sr
Instagramで労務について“分かりやすい”情報を発信中!