派遣労働者の同一労働同一賃金【労使協定方式】令和6年度「一般労働者の賃金水準」が公表されました!

厚生労働省から、令和5年8月29日に、令和6年度一般労働者の賃金水準(局長通達)が公表されましたのでご紹介いたします。
はじめに
令和2年4月1日、派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向けた改正労働者派遣法が施行されました。
派遣労働者の同一労働同一賃金対応において、ポイントを3点お伝えいたします。
①派遣労働者の待遇について、派遣元事業主には、以下のいずれかを確保することが義務化されています。
【派遣先均等・均衡方式】派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇
【労使協定方式】一定の要件を満たす労使協定による待遇
②労使協定が適切な内容で定められていない場合や労使協定で定めた事項を遵守していない場合には、【労使協定方式】は適用されず【派遣先均等・均衡方式】が適用されます。
③【労使協定方式】を採用している場合においても、教育訓練や福利厚生施設(給食施設、休憩室及び更衣室)の待遇については、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を確保する点に注意が必要です。
なお、厚生労働省が公表したデータによると、待遇決定方式として【労使協定方式】を選択している事業所が9割となっています。

令和6年度適用「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」の概要
概要は以下の通りです。
・一般賃金水準(一般基本給・賞与等)は産業計・職業計で上昇、上昇する職種の数も増加している
・一般通勤手当 令和5年度通達の数値 71円 ⇒ 令和6年度通達の数値 72円(1円UP)
・退職金割合 令和5年度通達の数値 5% ⇒ 令和6年度通達の数値 5%(変更なし)
詳細はこちらをご確認ください⇒001059098.pdf (mhlw.go.jp)
過半数代表者の選定
【労使協定方式】において、過半数代表者の選定も重要なポイントとなります。主なチェックポイントをまとめましたのでご確認ください。
過半数代表者の適切な選定チェックポイント
- 派遣労働者を含むすべての労働者から選出されている
- 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でない
- 労使協定を締結する者を選出することを明らかにして実施される民主的な方法(投票、挙手など)により選出
- 労働者の過半数の信任を得ている
- 派遣元事業主の意向に基づき選出された者でない
過半数代表者の選定において、Q&Aを1つご紹介いたします。
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ある労働者を過半数代表者として選出することに信任(賛成)するか否かについて、その確認方法として、派遣労働者を含む全ての労働者に対してメールで通知し、メールに対する返信のない者を、メールの内容について信任(賛成)したものとみなす取扱いは認められるか。また、返信がない場合は信任(賛成)したものとみなす旨をメールに記載している場合は認められるか。
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過半数代表者の選出には、労働者の過半数が選任を支持していることが明確になるような民主的な手続を経ることが必要である。その手続の適否は、最終的には個別の事案ごとに判断されるものであるが、一般的には、上記の取扱いは、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないものと考えられる。例えば、返信がなかった労働者に対しては、電話や訪問等により、直接意見を確認する等の措置を講じるべきである。なお、イントラネット等を用いて、労働者の意思の確認を行う場合も同様である。
参考:労使協定方式に関するQ&A(集約版)問1-12001046173.pdf (mhlw.go.jp)
まとめ
令和2年スタートから数年を経て、労使協定の内容においては、混乱も収束し落ち着いてきていると感じています。今後は、過半数代表者の適切な選定や労使協定内容の派遣労働者への周知に重点を置いてサポートして参りたいと思っています。また、厚生労働省編職業分類の改定に伴い、令和7年度適用分から職業分類の変更が生じる可能性がありますので、この点もご注意下さい。

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投稿者プロフィール

- こだま社労士オフィス代表 社会保険労務士
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【社員想いの経営者を、労務の確かな土台で支える】
企業価値の源泉である「人」に焦点を当て、採用、成長、定着といった人的資本経営の最重要課題を解決に導く社会保険労務士です。
【当オフィスの3つの強み】
①専門性の高い従業員を抱える企業様の課題解決:スタートアップ、医療クリニック、派遣・職業紹介業などの高い専門性 を持つ従業員の労務管理に強みを持っています。給与制度の不備が即退職に繋がるような課題に対し、細心の注意を払い、慎重かつ正確な対応を重視します。
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